時として考えられているのとは逆に、キリスト教信仰と科学の関係には長い歴史があり、両者には親密な関係が存在する。キリスト教が成立した頃、キリスト教信仰とローマ帝国で広く普及していたギリシャ哲学及び科学が初めて出会い、中世では、当時の科学とキリスト教神学が結びついた。また、近代科学の黎明期には新たな状況が生み出されたが、そこでは、新たな科学を通じて神の認識に至る自然神学の発展とともに英国国教会の聖職者らが大きな役割を果たした。まさに近代科学が生まれたのは西洋のキリスト教を取り巻く状況の中からだといえよう。