ふたりの出会いは公園だった。もう直ぐ14才になる少⼥カシとかなり年上の男性エル・ビエホ。この偶然の出会いはその後何度も繰り返されることになる。彼⼥は学校の強制から逃げているうえに周りの⼈々と交流できずにいる。⿃を眺めることやニーナ・シモンの歌を聴くことが好きな彼は仕事がなく、複雑な過去を引きずっている。世間からはじき出され傷ついたふたりは、不適切で世間からは認められない、疑わしい関係を築いていく。⼈々の推測が真実かどうかは別として、無理解や拒絶反応を引き起こす関係だ。読者をはぐらかし、強迫観念を抱かせ、居⼼地の悪さを感じさせるようなストーリー。しかしタブーや⼤⼈の世界へ飛び込む恐怖、社会的規範に順応することの難しさなどが克明に描写され、読者を引き込む不思議な⼒を持った小説だ。