東南アジアを舞台にした冒険小説。出張でシンガポールへ行ったソフィアだったが、運命に翻弄され、お金やパスポートも無く、漂流したボートでひとり大海をさまよっていた。彼女はこの運命と同様、あり得ない形で、バスク出身の向こう見ずな男オリャウリと島の謎めいた住民ジャハンが抱える問題に巻き込まれていく。ふたりはジャワ海で起きた盗難事件の関係者として当局から逃げているお尋ね者だった。盗まれたのは9世紀に遭難した船の残骸に眠っていた品で、海のシルクロードが存在したことを示す唯一の物理的証拠になり得るものだ。しかしこのふたりを探しているのはマレーの当局だけではない。オランダ人と呼ばれる男もまた彼らの後を追っていた。オランダ人はふたりを見つけるためには最悪の手段を取ることも厭わない危険な男だった。古典的な冒険小説の味わいを残しつつカリスマ的な人物が数多く登場する小説になっている。