「これまで、痛みに個性や表情があるなんて考えたことがなかった。痛みにこんなにもいろんな形があるなんて、ましてやあなたがそのひとつになるなんて、想像もしていなかった。だけど砂が指のあいだからこぼれ落ちていくように、あなたはわたしの夢から逃げ出し、しだいに見えなくなっていった。一秒ごとに少しずつ、あなたはわたしのものではなくなっていった。少しずつ、あなたを失っていった。死にかけている人がゆっくりと血を失っていくように、あなたはわたしの体からぽたぽた、ぽたぽたと流れ落ちていった。わたしには、あなたを引き留めるすべがなかった」キャロルはいつも自分は、美しくて聡明で社交的な姉の影のような存在だと感じていた。だからある日、ハンサムな学生オリビエからつきあってくれと言われても、信じることさえできなかった。キャロルは数カ月間、夢のように幸せな日々を送るが、やがて足元をぐらつかせるできごとが起こり、この恋は永遠なのか、それとも有効期限つきなのかを確かめなければならなくなる。心を揺さぶる驚きのラブストーリー。