ジョルディ・クッサ(1961年バルセロナ県ベルガ生まれ、2021年没)は作家、詩人、翻訳家、劇作家で演出家だった。彼が「赤い時代」と称した80年代は薬物に依存していた。依存症の地獄から脱した90年代半ばにその体験を形にした作品『Cavalls salvatges(野生の馬)』(2000)を出版。疎外された世界の忠実な描写と新たな文体で代表作となる。「本を書いたのはジャンキーではなくジャンキーだった作家だ」ということを明確にしたかった著者は、翌年次の小説を出版し、執筆活動は亡くなる少し前まで続いた。流行作家としてすでに成功を収めていたクッサは、創作意欲真只中の60歳でこの世を去った。ジョルディ・クッサは正統派には挑発的なこの冒険小説に文才のすべてを解き放っている。
『EL NOI DE SARAJEVO(サラエボの少年)』(Edicions Proa、当サイト2011年秋紹介作品 http://www.newspanishbooks.jp/book-jp/el-noi-de-sarajevo)