Clara Pastor
クララ‧パストール
1970年マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。翻訳家、編集者。バルセロナで国際関係、アメリカ合衆国で比較文学を学んだ。大西洋の両側で数年暮らしたのち、2009年バルセロナで出版社エルバ社を創業し、主に芸術やアーティスト、文学エッセイの書籍を出版する。編集と翻訳の仕事を両立させ、ESADEで法学と経営学の学生に文学を講義する。本書は初めての著書。
細やかな心理描写の11の短編で、クララ・パストールは特異な宇宙を見せてくれる。地理的な位置はあいまいだが、的確な雰囲気のなかに、登場人物の微妙な心理が見てとれる。主人公が子どもの場合は別だが、収録された物語の多くで、主人公が気づかないうちに欲望が生まれて死んでゆく。主人公は外見の落ち着きを保とうとするが、なかなかそうはいかない。流れるような自然な散文とともに、物語の筋の動かし方の巧みさを楽しめる美しい本。ほのめかされ、想像力と感性にゆだねられるすべてが読者を魅了する。
詳しく見る

文学
すばらしい隣人
Los buenos vecinos
クララ‧パストール
Clara Pastor
Quaderns Crema
異なる舞台設定ながら似通った雰囲気が漂う4つの物語がクララ・パストールの小さな世界を作り出す。いくつもの道に枝分かれする記憶の回想と、最も近しい人々との間にできた大小の隔たりを縮めるために登場人物たちが手探りで行動するさまを、巧みに、そして繊細に描いている。家族の庇護と子供時代を過ごした家庭は、大人が人生に失望したときに逃げ込める懐かしい思い出の場所となると同時に、目に見えない蜘蛛の巣にもなるのだ。しんみりと、どこか懐かしさを思わせるこれらの物語は、共有する秘密を話すような親しさで読者に語りかける。
詳しく見る
