新聞記者のマルタ・ビラスが、ビゴに港に浮かぶバイク乗りの死体を発見した時、殺人犯が被害者のポケットに忍ばせた小さな玩具が自分の人生を変えることになるとは夢にも思わなかった。閉鎖してしまった玩具メーカー、ファモビル社が製造初期に発売したシリーズの小さな人形が、この事件と対岸のカンガスで漁師によって引き上げられた警備員の殺害事件、そしてその後ガリシアの海岸のあちこちで次々と発見された死体とを結ぶ唯一の手掛かりとなる。はらはらする中にも時に愉快に、1980年代の出来事をちりばめ、実在の場所で行われる連続殺人事件をつむぎだす。アガサ・クリスティーの古典的作品のタッチで書かれたこの21世紀の小説は、著者のジャーナリズムに対するオマージュでもある。モビーダ(フランコ政権崩壊後から80年代までマドリードに起きた反文化的ムーブメント)の音楽に乗って展開する、魅力あふれる物語。