フェルナンド・ペレス・デル・カスティーリョは1898年の米西戦争で米軍に一杯食わせた英雄の玄孫。異国風の金髪、意固地なまでの小心さ、そして名高い俳優になるとの強い熱意を先祖から受け継いでいた。このような性質を持った本書「Plano Americano(アメリカ全図)」の主人公はマドリードでのブルジョア生活から抜け出し、刺激的な冒険の旅に出て地球の半分を周り、多くの人と出会って様々な状況を経験する。その長い旅にもうひとりの自分、セルヒオが「ボイスオーバー」として同行し、現代の「社会制度」の多くの部分、つまり、家族、伝統的教育、能力と富の関係、社会的差別、成功の空虚さと不当さなどへの辛辣で容赦ない批判をする。主人公は物事に対していい解釈をする術を身につけていき、最後には、よりよい生き方の象徴へと変貌する。