人生において家族やお金の重みとはどれほどのものだろうか?違う場所、時代に、違う身体で生まれてくれば、何か違っただろうか? この小説にはふたりの女性が登場する。ひとりはマリア。彼女は60年代後期にマドリードで働くためにそれまでの人生を捨てた。もうひとりの女性アリシアは、30年以上も後にマリアと同じ道を通る。『Las maravillas (素晴らしいこと)』はお金、そしてお金がないことにまつわる小説で、所持していないお金がどのようして人を定義づけていくのかを描く。また本書は、心遣い、責任、期待についての小説でもある。経済危機ではなく階級を原因とする乏しさや、何が人の素性や過去について教えてくれるのかに関しても述べている。大都会の外れで働くふたりの女性の声、そして身体を通して語った誠実で抒情的な本。