本書La Casa(家)は、歴史書や建築学の専⾨書ではない。かといって、⼈類学についてのエッセイでもなければインテリアに関するマニュアルでもない。本書には、⼈類の始まりから今の私たちに⾄るまでの歴史が集められている。これらの歴史の主⼈公となるのは家庭であり、何世紀にもわたって家庭を構成してきたすべてのものだ。著者のダニエル・トーレスは徹底的な考証を⾏い、シークエンシャル・アートによって⽣み出されるスピード感のあるストーリー展開を活かしながら、⼈類の歴史全体および⼈類とその住処との関係を探っていく。中世、バロック時代、産業⾰命の都市計画、1968年に学生運動家たちが夢見たユートピア、または20世紀の近代的な超⾼層ビルなど、新⽯器時代から21世紀までを通して⾒ていく。本書には、私たちの⼈⽣がどのようなものかが描かれている。すなわち、⼈⽣は⼤きな劇場であり、読者である私達もまたその劇場から恩恵を受ける観客なのである。