これは単に学校でのいじめの現実を伝える作品ではない。登場人物のひとり、中学生のアルバロが一人称で語る物語。アルバロは家庭の事情で転校してから、学校生活の苦い側面を味わうことになった。新しい学校で、あるグループから攻撃の標的にされてしまったのだ。アルバロはもうひとりの生徒も同じように攻撃されていると知る。彼を助けることが、自分の問題を解決するきっかけになるだろう。登場人物の生活を多角的に見つめ、その個人的欲望や家庭生活を掘り下げる、力強い物語。恐れ、不安、痛み、そして……、別の現実も可能だということを垣間見せてくれる、希望という名の裂け目。