概要たったひとつの故郷は幼年時代であると、ドイツ語詩人リルケは言った。またリルケは、こうも言った。人生に初心者クラスはない、すぐに難題をつきつけられると。この物語の主人公、フェデは60年代にスペインの田舎で生まれた。そのころ恐怖から回復しつつあった農村部では、住民がこぞって国際的で近代的な大都市に出て、輝かしい未来を築こうとしていた。フェデは父の愛情をあまり感じたことがなかった。父との関係にはどこか怪しげで謎めいたものがあった。そして都会に出ても、だれもが感じる愛されたいという激しい欲求が満たされないことを外に見せなかったフェデは、喜びと出会い、享受する。予期せぬときに思いがけないことが起き、新しい地平が開けた。幸せな80年代、フェデは「真実の愛」を感じることができるのか。真実の愛とは? 私たちは忘れ、赦すことができるのか……?