Sara Mesa
サラ‧メサ
サラ‧メサ(1976年マドリード⽣まれ)は幼い頃よりセビーリャに居住。短編や長編小説で受賞歴あり。アナグラマ社からはCuatro por cuatro(4かける4、エラルデ⼩説⼤賞最終選考作品)、Cicatriz(傷、オホ‧クリティコ賞⼩説家部門受賞作、「エルパイス」「エルムンド」「ABC」「エルエスパニョール」などの新聞やその他のメディアで年間ベスト本に選出)、初めての長編⼩説Un incendio invisible(⽬に⾒えない⽕事)、短編集Mala letra(汚い字)を出版している。
ソニアはインターネットの文学交流サイトでヌットと出会い、700キロも離れた場所にいるにもかかわらず、強迫観念と奇妙さに彩られた奇妙な関係ができあがる。通常の社会規範の外に身をおき、豪華な盗品をプレゼントして口説いてくる、完璧主義者のとんでもない男ヌットに、ソニアは反感を持ちつつも魅了されずにいられない。「缶詰を1個盗みに行くときですら身なりを整えているのを好む男」ヌットは、若いが19世紀の作家について語り、哲学し、あらゆることに疑問を持つ。個人と集団、社会の偽善や贖罪のヤギ、神と運命、処女性とセックスなどについて論じる。考えることほど楽しいことはないと、よく言っていた。それなのに気取りもせず傲慢でもない。ただ……何もかもそろいすぎていた。ヌットの支配欲があまりに強くなったとき、ソニアは距離をおくことが必要になる。
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文学
傷跡
Cicatriz
サラ‧メサ
Sara Mesa
Editorial Anagrama
ふたりの出会いは公園だった。もう直ぐ14才になる少⼥カシとかなり年上の男性エル・ビエホ。この偶然の出会いはその後何度も繰り返されることになる。彼⼥は学校の強制から逃げているうえに周りの⼈々と交流できずにいる。⿃を眺めることやニーナ・シモンの歌を聴くことが好きな彼は仕事がなく、複雑な過去を引きずっている。世間からはじき出され傷ついたふたりは、不適切で世間からは認められない、疑わしい関係を築いていく。⼈々の推測が真実かどうかは別として、無理解や拒絶反応を引き起こす関係だ。読者をはぐらかし、強迫観念を抱かせ、居⼼地の悪さを感じさせるようなストーリー。しかしタブーや⼤⼈の世界へ飛び込む恐怖、社会的規範に順応することの難しさなどが克明に描写され、読者を引き込む不思議な⼒を持った小説だ。
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