仕事にも結婚にも疲れた新聞記者のルイスは、テキサスのオースティンでの学会に出席する予定である。出張は、人生の唯一の喜びとなっているカミーラとの束の間の逢瀬のアリバイにすぎない。しかし、出発しようとしたとき、カミーラから「もうここでおしまいにして、思い出にしましょう」というメッセージを受け取る。ルイスは落胆し、どうしてよいかわからないままオースティンに行き、大学の文書館にこもり、そこで偶然、ウィリアム・フォークナーが愛人ミータ・カーペンターに送った手紙を見つける。この長い書簡を読んだのがきっかけで彼は、自分の恋の冒険の思い出をたどりなおし、退屈な家庭生活をふりかえる。しかし同時に、生きがいを持って日々を生きるにはどうすべきかと自問せずにはいられない。たっぷりの真実とユーモア、語りの力で、恋の熱情と、人間関係の避けがたいルーチンを普遍的な形で探求する。