本書は、ルイス・ディエス・デル・コラール=イ=ペドルッソの最高傑作を、ヨーロッパのルーツシリーズとして2018年に再編集されたものであり、20世紀に構想されたヨーロッパの歴史的解釈のなかで最も際立った作品のひとつである。また、ここ数十年間でヨーロッパで支配的になっている不確実性を予言したことでも知られている。その証拠にフランス語や英語、ドイツ語、イタリア語、日本語など複数の言語に翻訳されている。神ゼウスによって略奪されたシリアの乙女の神話的なイメージから始まり、著者は、その価値や文化の「普遍的」な広がりを通じてヨーロッパは世界を「略奪した」と言う一方で、その本質が多様な伝統や文化を学習や統合、発展させた結果であると考えると、ヨーロッパは「略奪され」ているともいえると言い、ヨーロッパの本質を見事に提示して見せている。