子どものころからの『指輪物語』への憧れをきっかけに、ディエゴ・ブランコは本作の読者を、トールキンが命を吹き込んだビルボ、フロドやほかの登場人物たちとともに、物語を味わいつくす旅へと誘う。そのために作者はガンダルフの役を引き受け、近代の文学の中でファンタジーのジャンルを羽ばたかせた最初のひとつであり、もっとも有名な物語の秘められた、だが的を射た解釈へと読者を導く。作者は400ページ以上もある本作を通じて、トールキンが魔術、並外れた生物、魔法の指輪でいっぱいの幻想的な世界を、何に基づいて創造したかを明らかにする。こうして我々は、トールキンの世界と登場人物の中に隠された寓話を見つけ、最高傑作の執筆へとこのイギリス人作家を導いた、まぎれもないキリスト教の影響を見出すことができる。