ある若い女性は、妊娠を確認し、喜びに満ちあふれている。赤ん坊のために家をどうアレンジするか、名前をどうするか、子どもとどんなふうに暮らそうかと、パートナーとともにあれこれと計画を立て始める。だがある朝、通勤途中で小さな事件が起きる。近道をしようと公園を通り抜けているとき、飼い主がとめきれなかった数匹の犬に襲われ、彼女は倒される。病院で胎児に影響はないことがわかるが、ひとりのベテラン医師が、事前に検知されるべきだったあやしい影がエコーに映っているのに気づく。堕胎という不可避のテーマを扱った衝撃作。才能豊かな若い女性作家が、さまざまな語りを巧みに駆使し、感傷に陥ることなく読者の心を動かし考察させ、特に若い世代の、現代スペインの社会状況を間接的に描きだす。