レアンドロ・バルセイロは繊細な紫色のユリやアネモネを植えていたとか、彼の娘のクララのゆりかごは西洋アジサイの苗木だったとか、クララはセイロンアマリリスの甘い花びらを吸うだけで栄養を摂っていた、などと村人は語る。2世代の後、その少女クララ・バルセイロ率いる芸術介入隊が、環境保護を訴えるための大胆計画を準備する。今は使われていない石切り場の土地に祖父のレアンドロが作っていたようなバビロンの空中庭園を再現するという計画だ。
19世紀末を舞台に繰り広げられる厳しくも情熱的な物語。身売りの咎で収監された15歳のシスカや刑務所の視察員コンセプシオン・アレナール、物語の鍵となるフアナ・デ・ベガのような女たち、または性を貪る男たちとの出会いを嘆く悪女たちの声なき声といった複数の声で語られる。この小説は、1863年にア・コルーニャのア・ガレーラ刑務所に収監された囚人たち、この排除された人々が忘れ去られることなく記憶に留められるために書かれた。
アサリアはのどかな山村。石畳の白い通りのこの村は、ミゲル・プリモ=デ=リベラの独裁政権による政治の激動とも無縁だった。しかし、グティエレス家の高齢の兄妹カンディドとパキタが殺害されたことで村の日々の平和が突然破られる。治安警察が慌ただしく介入し、住民のひとりを逮捕し厳しく尋問したことから村で反乱が起き、中央政府は事件解決のためにロベルト・マルティン警部を送り込んでくる。同じ頃27歳の独身の娘イネスはひとり、兄妹の殺害について探り始める。
アドナイス賞及びスペイン国営ラジオ局RNEのオホ・クリティコ賞(2018)を受賞したアルバ・フローレス=ロブラが読者に贈る愛の詩集。波乱に満ちた愛、平穏な愛、そして愛の欠如。そしてまた、私たちが見ることは叶わないが、どこかで育ち続けるだろう森の愛。不明瞭な事柄の多い今日にはうってつけの1冊。アルバは近年のスペインの詩の世界に新鮮な声を吹き込む詩人のひとり。そして同時に、最も儚い声でもある。
846年、ローマ帝国の首都であるローマの街は廃墟と化し、なかば打ち棄てられていた。それでもローマは永遠の都で、教皇が統治し、ペテロ、パウロなど十二使徒の亡骸が限りない財宝に囲まれて眠っていた。カトリック教会はすばらしい財宝を隠している。
信心深い娼婦、信仰心のない修道士、脚の悪いインディオ、高潔なならずもの。母は娼婦、父はイギリス人。空腹を追い払うための唯一の手段である苗字もない。
アルツェレカは橋のたもとの薄暗い場所にある古くて大きな農家だ。その家を頑なに支配している寡婦のサビナ・ゴヘノラもこれまた老女である。同居人で片足を切断して障害者となった義弟のヘンリーも、当然その支配下にある。サビナの子どもたちは、母親の日々の生活を少しでも楽にしようと懸命だ。しかし、自分以外の人間が定めた道を歩みたくないサビナは、あらゆる快適さを拒否する。彼女の愛情の対象は共に過ごす羊や犬と猫だけだ。家族との間にあるのは疑惑と緊張感、隣人との間には言い争いと妬みばかり。
Es ist das Jahr 26 v. Chr. Die Römer versuchen, in den schwer zugänglichen Gebieten im Norden der Iberischen Halbinsel die unbezähmbaren Kantabrer und Asturer zu unterwerfen.
小さなネズミ、ベモル・ピスパンテは音楽が大好き。だから、ピアノの中に住んでいる。みんなを危険にさらすので、仲間のネズミたちからは頭がヘンだと思われている。家のあるじは偉大なピアニストで、美しくて難しい曲の練習をする。マルチメディアのコンテンツ入りのCD-Rom付属。
経済危機で雇用が不足しているヨーロッパで、エリートを目指して有名大学に通っていた女子大生が、イギリスの村に帰ってきた。挫折の影と、アルゼンチンからの送金によって彼女をコントロールする母親に追い詰められ、主人公は自分に約束されていたはずの成功が消えていくのを見る。彼女は日々賃貸の家やアパートのあいだで過ぎていく。そこにある他人の家財は、使い捨てられた他の人生の証以外のなにものでもない。しかし彼女は、厳しい規律を自分に課して軌道修正しようとする。今度こそ人生に勝利しようと勉強を再開する。