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Perdido en el museo
著者:
Luisa Vera ルイサ・ベラ
出版社:
Editorial Casals, SA
レポート作成:
嶋田真美

■あらすじ・内容

ある日、近代美術館にやってきた少年と父は、美術館の中ではぐれてしまう。少年は、絵画に導かれるままひとりで美術館の中を巡っていく。見開きページごとに有名な絵画に着想を得たイラストが描かれ、折り返し部分を開くとその芸術ムーブメント及び代表的な画家についての説明が書かれている。ページをめくると絵画を題材とした迷路が描かれていて、その迷路を抜けると次のムーブメントへとつながっている。少年は、19世紀後半の印象派から20世紀中頃のポップアートまでの近代美術の流れを迷路とともに進んでいく。最後の迷路の入り口で父と再会し、一緒に迷路を楽しんだ親子は明日も来ることを約束し、この本を締めくくる。

 

紹介されている画家

・印象派

  クロード・モネ  

エドガー・ドガ  

メアリー・カサット 

・ポスト印象派           

  ポール・セザンヌ 

  ジョルジュ・スーラ  

  フィンセント・ファン・ゴッホ

  ポール・ゴーギャン  

・表現主義

  エドワルド・ムンク  

  パウラ・モーダゾーン=ベッカー 

・フォビズム

  アンリ・マティス    

  アンドレ・ドラン  

・キュビズム

  パブロ・ピカソ  

  リュボーフィ・ポポーワ 

  ジョルジュ・ブラック   

  コンスタンティン・ブランクーシ  

・シュールレアリズム

  ジョアン・ミロ  

  パウル・クレー  

  レオノーラ・キャリントン

  ルネ・マグリット  

・抽象芸術

  ピエト・モンゴリアン 

  ワシリー・カンディンスキー  

  ジャクソン・ポロック 

  ソニア・ドローネー  

・ポップアート

  アンディ・ウォーホル  

  ロイ・リキテンスタイン 

  ディヴィッド・ホックニー  

 

■所感・評価

大きな判型の絵本で、明るく楽しい絵に誘われてどんどんページをめくりたくなる。 

近代美術について書かれているので、印象派、キュビズムなど子供にとっては難しい言葉も出てくるが、そういう言葉は折り返し部分の内側に書かれているため、開かなければほとんど文字はない。たとえば印象派のページでは、折り返し部分の内側には印象派についての簡単な説明文、代表的な画家としてクロード・モネ、エドガー・ドガ、メアリー・カサットの3人の画家についての説明が書かれている。しかし折り返しを開かなければ、その見開きには、美術館の中を回る主人公の男の子と、大きなドガ風の絵の中のバレリーナの少女という2人の目が会っているシーンが描かれているだけである。そこに言葉はなく主人公の「?」があるだけだ。よく見れば、美術館の壁にかかっているのは、先の3人の画家の代表作をイラストにしたものだ。そして、次のページではドガのバレリーナ風の少女がモネの睡蓮の池をイメージした迷路を案内してくれる。これなら幼稚園くらいの子供でもじゅうぶんに楽しめる。また、年齢が上がれば折返しの中の説明を読み、各ページに描かれたイラストが誰の作品をイメージしたものか調べる楽しさも加わり、興味がひろがっていくだろう。

日本でも絵画やその作者についての絵本はいろいろ出版されていて、シリーズになっているものもある。小学館「あーとぶっく」シリーズでは、だれもが知っている画家を1冊につきひとり取り上げ、その代表作を小さな子にもわかりやすい言葉で説明している。他にも博雅堂出版から出ている「おはなし名画」シリーズも、画家を取り上げその人生と作品について書かれている。このように画家ごとの絵本はあるが、美術史の流れに沿ってムーブメントごとの説明や代表画家について書かれている絵本はないようだ。

 また、遊びの要素で見ると、宝探し的なものがある。「名画で遊ぶ あそびじゅつ!」(長崎出版)のシリーズがそれにあたる。つまり1枚の絵画の中の一部分をとりだして、それが原画のどの部分にあたるかを探すのだ。しかし、本書のように迷路仕立てにしたものは見つからなかった。本書は、今までの日本の絵本にはない切り口で美術作品を小さな子どもたちに届ける新しいタイプの絵本である。

ひとつ気になる点をあげるとすれば、この絵本の中には本物の作品が登場しないことだ。イラストには誰の作品を模したものか表記がないので、本物を知っていればそれとわかるのだが、美術、特に近代美術への興味を抱かせるのにこのイラストと言葉での説明だけで十分なのか、絵を見てその画家に興味を持つことはよくあるが、反対に画家の名前と簡単な説明だけで、その画家の書いた絵を調べようと思うのか、気になるところだ。しかし何度もこの絵本に親しむうちにいつしかイラストが記憶に刻まれ、本物を見たときにピンとくる、そんなふうになってほしいと願う。

 なお、本書は2022年のニューヨークで開催されたサンジョルディの日のイベントで選出された作品である。ニューヨークのイベントの動画はこちらのURLより

http://www.combeleditorial.com/n/news/luisa-vera-at-sant-jordi-in-new-york/

出版社の動画  https://www.youtube.com/watch?v=zM_mdrvDC1g

 

                                            

■試訳 (冒頭から)

「びじゅつかんにいくかい?」

「きんだいびじゅつかんに!?」

 

「わぁ!」

 

「パパのおきにいりの絵はこのあたりにあるんだけどなあ……。

うーん、ここをとおって。

つぎはそこをまがって……」

「あ、あった! すばらしい、さいこうだ、すごいぞ、てんさいだ。

ブツブツブツ……」

「ねぇ、ちょっと!」

「えっ? ぼく?」

「そう、きみよ。きて……」

 

中略

 

「びじゅつかんのなかを みてみたい?」

 

〜印象派〜

印象派の画家たちは、じぶんのかんじた「印象」を表現するのに、自然の中で光がもたらす影響をえがき出したいと思っていました。ほかの色とまぜないでチューブから出したそのままの色で風景をえがき、かげをかくときには黒をつかいませんでした。キャンバスやパレットを外にもっていって絵をかくことがおおいにこのまれました。

クロード・モネは、光によっておなじものでも色が変わることをあらわすために、1日のうちで時間をかえておなじけしきをえがきました。 

エドガー・ドガは、ほかのなかまたちのようにいなかや町へは出かけませんでした。バレリーナの練習風景をかくのが好きだったのです。

印象派には女の人の画家もいました。

メアリー・カサットは、とくに女の人とその子どもたちの普段のすがたをえがきました。

そして、ほかにも、もっともっとたくさんの画家がいました。

 

「すいれんの道を とおって……

池におちないようにね!」

 

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