ア・コルーニャ県のアス・マリーニャスに暮らすある家族の物語。印象、記憶、写真、母親の日記、信頼できる証言などを元に、作者のシェスス・フラガはまるでキャンバスに絵を描くみたいにこの20世紀後半の物語を展開させていく。登場人物たちが引き寄せられる街ロンドンの入り組んだ地下鉄路線のように、多くの読み方ができるのも本作の特徴だ。また感嘆すべき孫とその強い祖母の物語でもある。出て行った人が同じような人間として戻ってくるわけでもなければ、去った土地も出ていった時と同じではないということを本作は伝えている。