ジェイムズ・ジョイスの大長編小説『ユリシーズ』に豊富なイラストを付した世界初の本。生前、同作品に命を救われたと語っていた著名アーティスト、エドゥアルド・アロヨによる134点のカラーおよび200点近いモノクロのイラストが掲載されている。イサベル・アスカラテ夫人が「彼はとにかくあの小説に夢中だった」と回想するほど、アロヨにとって『ユリシーズ』は完璧な作品だった。彼は生前、この大作に自分の絵を付して出版することを夢見ていた。そういう意味で、絵と文章を見事に調和させたこの作品が世に出ることは運命だったと言っても過言ではないだろう。ジョイスによる同作品の初版がパリで刊行されてから100年。それを記念して、本作『Ulises(ユリシーズ)』は現在、スペイン語(ガラクシア・グーテンベルグ)と英語(アザープレス)で出版されているが、世界中で出版される価値のある、洗練され時代をも超えた記憶に残る作品である。