フェミニスト的観点から固定観念を退ける作者たちは、「快楽、性行為、エロティシズムがどのように、そして誰のためにあるべきか」といった、ひとつの明白な答えを出すような言説を展開したりはしない。本書には、一般的には規格外かもしれないが、社会に存在する性とエロスの多様性に応えるエロティックストーリー集という点では実にノーマルな性愛文学が網羅されている。これら12の文芸作品のテーマは、性的同意、自慰、スワッピング、性別のあいまいさ、個人の自由、探求、アバンチュール、生涯のパートナーの再発見など。作者たちは、ポルノのようなファロセントリズムに支配された男性的視点によるセックスを避け、よりリアリティのある物語を描いた。登場人物たちが見せる現実に寄り添った、願望、欲情、夢、野心は読者を魅了するだろう。