1803年11月30日、22人の孤児を乗せ、コルベット船「マリア・ピタ号」がア・コルーニャ港を出航した。彼らに託された使命は、発見まもない天然痘ワクチンを自分たちの体で国外に届けることだった。ホセ・サルバニー、イザベル・ゼンダルといった探検家たちが同行し、世界規模の予防接種を目的に編成された、この王立慈善ワクチン遠征隊(1803-1810)は、フランシスコ・ハビエル・バルミス博士が率いたことからバルミス遠征隊とも呼ばれている。彼らの遠征が史上最大の人道的偉業となったのは、のちに50万人以上の命を救うことになる子供たちの勇敢さと、保健衛生活動の模範とされるフランシスコ・ハビエル・バルミスの勇気によるものであった。