「僕のことをグーゴルと呼んでいいよ」でも、グーゴルって誰? または何? グーゴルは他者がそうあってほしいと望むものではない。両親や13人の兄弟とは違った、自分自身でありたいと思っている。なのに、みんなは質問ばかり浴びせてくる。それでグーゴルは自分の道を歩み出した。自由気ままに幻想的な所、たとえば、虚栄心の強いテアトルム・ムンディ(世界劇場)とか、頑固な人々の国とか、言葉だけでできた森とかにたどり着く。未来と忘れ得ぬ友達でいっぱいの幻想世界。想像できる? 「グーゴルと名付けたのは彼自身だった。――君、名前は? ベネット? ニコラウ? カミラ?――彼はベネットともニコラウともカミラとも名乗らなかった。自分の名前をグーゴルに決めた、ただそれだけ。グーゴルは、ほとんど無限に近い、途方もなく大きな数の名前でもある」