19世紀に入って数十年後のある冬、プロイセン王国のポーランドとの国境をなすオーデル川のほとり。荒れ地を耕そうと遠くからやってきた男が、旅行中に亡くなった妻の遺体が入った棺を荷車から降ろす。凍った大地に墓穴を掘りはじめると、驚いたことに別の遺体を発見する。兵士だ。男性、プロイセン人、軽騎兵で、凍っている。それが最初の遺体。人は、自分の足元、自分が掘り返した地中に埋葬された遺体を見つけると、他にも埋まっているのではないかと思ってしまう。何らかの形で死体を見つけてしまった者は、自分が見つかる番をじっと待っている遺体が他にもあるのではないかと想像し、ぞっとする。この最初の兵士の遺体発見で物語は始まる。これは戦争によって鍛えられた大陸の物語であり、ミステリアスな語り手リドゥ・ハウプツハマーの物語。