今はむかし、過酷な戦争があった。人間と妖精の対立は決して終わらないかに思われた。今はむかし、邪悪な女王、見目麗しい王子、ふたりの姫君、そして世界一すばらしい物語を語る吟遊詩人がいた。昔話はハッピーエンドに終わるものと私たちは思いこんできたが、本物の魔法がある世界ではそうはいかない……。盟約、裏切り、権力闘争、まったく利己的な利害がこの物語を導き、予想がことごとく裏切られる。結局、確かな未来などないのだ。愛を手に入れ新しい目的を理解しようとする登場人物たちの内面の葛藤を中心に据えた、波乱に満ちたロマンティックノベル。