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アルリンド・イップ
ある日ダニエル・ネスケンスは言った。「物語を書こう。」そして書いた。書くやいなや言った。「木に登ろう。」けれども、「後で降りるつもりなら、木登り禁止」と書いた立て札があったので、登らなかった。だからその代わりにベンチに座って、考えた。そして、一頭のカバが……で始まる物語を考えた。もうちょっと先にあった、別の立て札にはこう書いてあった。「ネスケンスは満月の夜に生まれた。ほとんど泣かなかった。やがて、歩くこと、文字を書くことをおぼえて、2の段の掛け算ができるようになった。それに3幕もののオペラが好きになった。好きな作曲家はオットー・ニコライだ。」